西本智実 「革命」ツアー2004 with アナスタシア

平成16年(2004年)6月24日(木曜日)
ザ・シンフォニーホール
19:00開演

座席:1階 T列 23・24番

 会場に到着する前に、しばしハプニングがあったものの(詳しくは Diary をご覧下さい。) 無事到着して、いつものようにグランドホワイエ2階のティー・コーナーで、Talrinはホットコーヒー、Erill はオレンジジュース そして、二人でサンドイッチ一パックを食しました。 その時、ホールに入るときから、ぼんやりといだいていた思いが確信に変わりました。 「女性が多い!!」 「指揮者が女性だから聴き手も女性が主体なのかしら。」 などとErill と話をしておりましたが、Erill は、この時、既にそれ以上のいつもとの違和感を感じていたようです。 この辺の話は、最後に「こぼれ話」でまとめますが、女性の勘というのには恐れ入りった Tarlin でした。

 さて、開演時刻も迫り、場内に入っていったのですが、いつも思うのですが、大阪フィルの方達は真面目な方が多いですね。すでに、楽器の調整を行っておられる方達がとても多いです。

 さあ、いよいよ西本さんが舞台袖より颯爽と入ってこられました。一曲目はヴェルディの歌劇「運命の力」序曲です。この曲を聴いてというか、見て、「なんて、美しい振り姿なんだろう。」と思いました。昨年にも増して・・・ それは、一種の芸術のような感がしたのは私だけでしょうか。また、指揮者ですから燕尾服を着てらっしゃるのですが、その後ろ姿はまさしく燕のようにスラッと美しいラインなのです。私がこれまで見てきた指揮者の中でも、これだけ燕尾服が似合う方はいないような気がします。

 本日のメインはなんと言っても、ツアー名にもあるように、ショスタコービッチの交響曲第5番「革命」です。 昨年聴いたムソルグスキーの展覧会の絵より、西本さんの振るロシアの曲をとても楽しみにしていたのですが、この革命は、素晴らしいものでした。特に第3楽章と第4楽章の構成に感銘を受けました。細く透き通るような糸をピンと張ったような第3楽章。そこでエネルギーを溜めて溜めて、第4楽章でそれを一挙に解き放つ・・・

 この「革命」と銘打たれた交響曲の副題の由来は定かではないらしいのですが、Tarlin 的には交響曲第11番「1905年」と、とても似ているように感じました。第11番「1905年」は、ロシア革命前のいわゆる「血の日曜日」という事件を描写したもので、それはそれはすさまじい光景描写の曲になっていて、最初に聴いたときには大きなショックを受けました。その第11番と今日の第5番がとても似ていると感じたのです。今まで、このように感じたことは一度も無かったのですが、西本さんの革命を聴いて本当にそのように思いました。

 この第5番と第11番が似ているなんて書きましたが、決定的に違う部分がクライマックスです。 第11番が悲痛に沈んでいくのに対して、第5番は、高らかにフィナーレを迎えるのです。今日の演奏でとても良かったのはティンパニでした。第4楽章の最後では、堂々とした連打が感動的でした。

【お買い物】

指揮棒の振り姿に感動してしまった勢いで買ってしまいました。DVDを・・・

【こぼれ話 Erill の勘】

 演奏前の腹ごしらえしている最中に、Erill が感じた違和感。 それは、「今日、聴きに来ている人、なんか違う。」の一言に集約されていました。「確かに女性が多いね。」という Tarlin の感覚を超えて。「それだけではないような・・・」と。 この Erill の勘は場内に入って Tarlin も少し感じ始めました。演奏が始まる前は、いつも館内放送で、「携帯の電源切ってや」とか、「アラーム時計が鳴らんようにしてや」とか放送があります。そして今日も確かにありました。が、ちゃんと聞こえないのです。そうです、周りがざわついていて聞こえないのです。 そして極めつけは、「うん?雷」。「ぎょっ。まさかフラッシュ?」 なんと、フラッシュを焚いて写真を撮っている人がいるではないですか。カメラ撮影を行うこと自体、考えられないのですが、ご丁寧にフラッシュまで焚いてらっしゃる方がいるのです。 そして、ウルトラ極めつけは、演奏中に携帯を鳴らしてしまわれる方まで出てしまったのです。 ここまでくれば、Erill の違和感は自信に満ちあふれた確信に変わります。 以下 Erill の推理です。

 今日の公演は読売新聞も共催しているため、きっと、その招待チケットが、お金を出してまで聴くつもりは無いけれど、タダならば、一度、最近人気の女性指揮者を見てみようと思った方達の手に渡ったのではないか。 ワトソン君、こんなところでどうかね。

 一時は、「どうなってしまうのだろう〜〜」と心配しましたが、さすがに、それ以上のことはなく、無事にすすんだのですが、ちょっとびっくりした演奏会でした。