2001年7月8日に Erill は Tarlin をミステリアス・ツアー、つまり行き先を教えない小旅行に連れて行ってくれました。
 その最初が、阪急嵐山線の上桂駅で降りててくてくと歩くこと15分、なんとツアーコンダクターであるはずの Erill が途中で人に道を聞くという、ミステリアス・ツアーにあるまじき行為を交えながらも到着したのが、西芳寺でした。「苔寺」という名前で親しまれているお寺です。

 

 苔寺、そこに一歩、足を踏み入れると、古のころより営々と、人間と自然が調和してきた空間の息吹というものを感じることが出来ます。単に「美しい」と形容するのも憚られるような厳しさがありました。

 苔寺と呼ばれる由来ともなった庭園の苔は池泉回遊式庭園に群生しています。まるでビロードの絨毯とでも言うように・・・ 残念ですが、写真では、その見事な苔の一端もお伝えすることができません。
 思わず手を触れてみたくなる衝動におそわれる質感、木漏れ日に照らされたときに見せる微妙な緑の濃淡。どれも、その場の空気があって初めて感じ取れるような気がします。 

 私たちが行った7月の初旬は、まだ梅雨が明けきっていない頃で、木々も苔もしっとりとした雰囲気の中に息づいていました。木々の根元は一様に苔に覆われ極相林というのはオーバーにですが、そこには一つの安定した小宇宙みたいなものを感じました。 苔たちは、これから、幾百年という歳月をかけて木々を覆い尽くしていくのでしょうか。

 西芳寺の拝観は予約制となっています。(一時、苔が大変傷んだことがあるため、そのようになされたとのことです。)
 ですから、庭園をゆったりと散策を楽しむことができます。 その反面、お天気にあわせて行けないところが難しいところですね。というのも、木漏れ日が苔に当たるその光景がとても素晴らしいからです。 でも、雨の庭園を知らないからそう言っているだけで、もしかすると、雨で、一層しっとりとした雰囲気もいいかも知れませんね。